法律相談から解決までの流れ
ここでは交通事故損害賠償事件に関し、ご相談から事件解決までの流れについてご説明します。
全般的な流れ
相談から依頼までの全般的な流れは、以下のとおりです。なお、以下の例は典型的なケースの例ですので、事案によって異なることがあります。
(1)ご相談
原則として弊所にて面談でご相談いただきます。詳しいご事情を伺った上で、請求できる可能性のある賠償金額の見通し、取りうる方針、具体的な手続の流れ、弁護士費用の見通しについてご説明します。
必要に応じ、弁護士費用のお見積をお出しすることも可能です。
(2)委任契約
ご相談後、弊所にご依頼を希望される場合、委任契約書を作成し、調印します。ここで、事件処理方針と弁護士費用は書面で明確になります。
(3)資料のお預かり・事件に着手
委任契約締結後、必要な資料を最終的にお預かりします。その上で、事件に着手します。
(4)事件の遂行
依頼者に随時ご相談・確認の上、事件を進めていきます。保険会社との示談交渉で終了することもありますし、訴訟に踏み切った上で解決する場合もあります。
ただし、依頼者のご意向を無視して勝手に進めることは絶対にありません。
資料収集・分析
弁護士は、受任前にも相談時の資料からある程度事案の分析をし、見通しを立てます。
しかし、受任後、事故状況についてのあらゆる記録、損害算定に関する資料、受傷から現在までの医療記録を精査し、事実関係を分析します。
医療記録については医療機関から取り寄せることもあれば、すでに保険会社が取得しているような場合には、保険会社から取り寄せることもあります。
後遺障害の認定・異議申立等
後遺障害の認定
治療が終了した段階で、治癒せず、不幸にして症状固定として一定の症状が残存している場合、後遺障害の認定手続を行います。
後遺障害認定前の段階で弁護士が受任する場合には、医療記録や依頼者の症状と照らし作成された後遺障害診断書に不備な点がないかといった点を分析することもあれば、医師と連絡・面談の上医学上の見解を確認することもあります。なお、後遺障害等級認定の詳細は、こちらをご覧ください。
異議申立
後遺障害の認定の結果として、「非該当」と認定される場合があります。また、期待していた認定等級と異なる等級が認定される場合もあります。この場合不服を申し立てる手段として、異議申立をします。
後遺障害等級認定がなされた後、異議申立の段階で弁護士が受任する場合もあります。この場合には、弁護士はまず、認定理由を記載した書面と医療記録・依頼者の話を総合し、異議申立が認められる可能性を検討します。
異議申立が認められる可能性がないとはいえない場合、弁護士としては後遺障害を診断した医師と面談し、等級認定に対する見解や、当該依頼者の病状・障害に対する所見を確認します。その上で、必要があり、かつその医師が同意する場合には、依頼者の障害の内容や事故との因果関係について詳細な臨床医としての判断を明らかにする診断書や意見書の作成を依頼することがあります。
弁護士としては、そのような診断書・意見書に加え、依頼者が当該障害によって生活や仕事に重大な影響を受けていることを詳細に示す意見書などを添付して、異議申立が認められるように努力します。
示談交渉の開始
示談交渉の開始
後遺障害の認定について一定の結論が出た場合、治療によって治癒し後遺障害が生じなかった場合、不幸にして被害者が死亡した場合には、依頼者が被った損害の総額の計算が可能となりますので、弁護士が、損害額を算定します。
その上で、算定した損害額を依頼者に確認いただき、了承が得られれば、加害者側(通常は保険会社)に対し、示談交渉の申入をします。
示談成立又は決裂
示談交渉開始後、弁護士が保険会社との交渉を行います。治療費の金額が争いとなることは多くはありませんが、休業損害の範囲と金額、後遺障害が発生した場合の労働能力喪失率、労働能力喪失期間、過失相殺(過失割合)、一部の後遺障害と事故との因果関係など、交渉においては多岐に亘る争点につき、保険会社と交渉し、説得し、詰める必要があります。
示談交渉の結果、保険会社が譲歩し、かつ依頼者側も合理的な範囲で譲歩した上で、示談が成立する場合も少なくありません。他方、双方の主張が折り合わず、示談が成立しない場合も当然ながら存在します。
訴訟提起から解決
訴訟提起
示談交渉の結果、保険会社側と依頼者側双方の主張が折り合わず、示談が成立しない場合は、訴訟に踏み切らざるをえないことが少なくありません。
もっとも、事案によっては、示談交渉では妥結できなかったものの、簡易裁判所での調停、交通事故紛争処理センター、日弁連交通事故相談センターでのあっせんなどで折り合いがつく見通しがあるケースもあります。
事件の解決
訴訟提起をした場合、最終的に裁判所が判決という形で判断を示しますので、内容の当否は別として、事件はいつかは解決します。
また、訴訟提起後も、裁判所が、当該事件について、「和解」(当事者双方が互譲の上合意して解決すること)を勧める場合も少なくありません(いわゆる「和解勧告」です)。それで、訴訟提起後、裁判所が持つ当該事件についての見通しを背景に、「和解」という形で解決する場合も頻繁に見られます。