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交通事故損害賠償の解決方法~示談交渉 

 
このページでは、交通事故による損害賠償について、解決方法にはどのようなものがあるかを、ポイントを絞って解説しています。

 解決方法の概要

 交通事故による損害賠償については、一般的に、以下の解決方法があります。事案に応じて適切な方法を選択することが重要です。

項目 概要
示談交渉 相手方又は保険会社との話し合いによって合意することによって解決する方法
です。本ページでは示談交渉の方法について説明します。
民事調停 簡易裁判所における民事調停を利用した解決方法です。リンクをクリックして、そのページをご覧ください。
民事訴訟・示談斡旋機関 民事訴訟は、訴えを提起し、訴訟によって解決する方法です。そのほか、交通事故に関し示談を斡旋する機関があり、利用可能です。
リンクをクリックして、そのページをご覧ください。

 本ページでは、以下、示談交渉について説明します。

示談交渉の方法・注意点

事故当事者本人が交渉するか、代理人に依頼するか

弁護士への依頼を検討したほうがよい場合

次の場合には、代理人を依頼するほうがよいかもしれません

◇ 法律的な問題点・過失割合の評価等難しい問題が含まれる場合

◇ 気が弱い、時間がない等、交渉ができない個人的事情がある場合

◇ 相手が弁護士等の専門家に依頼して交渉してきた等のため、対等に交渉ができないと感じる場合

どんな人に代理人になってもらうのがよいですか

 最適任は弁護士です。その理由は、法律の専門家であり、交渉に慣れていることに加え、法的に根拠のある主張をしてくれること、 後日問題を残すような交渉・解決はしないことからです。
 逆に、いわゆる「事件屋」「示談交渉屋」に交渉を依頼するのは、危険なばかりか、違法です。

示談にあたって注意すべき点(加害者側)

以下は加害者側として留意すべき主な点をまとめたものです。

相手方が損害額を出してきた場合

 相手方が損害額を出してきた場合、損害額の算定の根拠を尋ね、証拠(見積書、領収証等)の写しをもらうようにします。

相手方にも過失があると考えられる場合

 相手方に過失がある場合は、過失相殺の主張をし、減額を交渉します。

示談金を一部でも支払った場合、必ず領収証をもらう

相手方から、「もらっていない」という主張をされないために必要です。

示談書に「清算条項」を含める

 「清算条項」とは、示談書において合意した事項以外には、当事者間にはこれ以上何の債権・債務もないということを確認する条項のことです。

 この条項を入れることで、「実はこのような損害もあったので賠償してほしい」等と主張されて紛争を蒸し 返されることを防ぐことができます。

相手方が複数いるとき

 相手方が複数いるときは、必ず全員と示談するようにします。つまり、示談書には相手方の全員の署名と押印を取るべきということです。

 これは、相手方のうちの一人が「自分が全部窓口になっているので大丈夫」と言っていたとしてもです。

 示談にあたって注意すべき点(被害者側)

以下は被害者側として留意すべき主な点をまとめたものです。

損害に関係した支出は、レシート、領収証等を必ず保存する

 損害の立証のための最も基本的な資料となりますから、もれなく保存しておきたいものです。

 この点、領収書やレシートがないような、通院のバス、電車代等も、手帳、ノート等に、交通経路、交通費の明細を記録しておくと後々の立証に役立つ可能性があります。

示談金の支払を受け、領収証を出す場合、写しを取る

 将来、何らかの証拠になりえます。

示談金を一部でも支払った場合、必ず領収証をもらう

相手方から、「もらっていない」という主張をされないために必要です。

安易に示談に応じない

 例えば、治療が継続中で後遺症が出るかでないか分からない状態で、全面的に示談すると、後遺症について、 賠償請求が難しくなります。

 それで、泣き落としや、「刑事事件に利用するだけなので形だけ判をもらいたい」という言葉にだまされないようにしてください。お金に困っている場合でも、自賠責の被害者請求、任意保険の内払請求等を活用したり、とりあえず健康保険を使ったりして出費を抑え、不必要に急いで示談しないようにします。

示談金はできるだけ一括で受け取る

 加害者側が任意保険に入っていない場合で加害者側に資力が十分ではない場合、分割払いの合意をしても後々支払いを受けられなくなるリスクがあります。

 事案によってはやむを得ないケースがあるとしても、できる限り一括で受け取るようにすることが望ましいといえます。

ご注意事項

本ページの内容は、執筆時点で有効な法令・法解釈・基準に基づいており、執筆後の法改正その他の事情の変化に対応していないことがありますので、くれぐれもご注意ください。

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