弁護士費用特約の解説とQ&A(よくある質問)
「弁護士費用特約」とは
弁護士費用特約の概要
「弁護士費用特約」とは、自動車の損害保険に付いているオプションです。
弁護士費用特約がついていると、交通事故の被害にあい、加害者に対して損害賠償請求のための示談交渉や裁判を行う際の弁護士費用が補償されます。また、一定限度で弁護士への相談料も補償されます。
弁護士費用は決して少額ではありませんが、ご自分の保険に弁護士費用特約が付いている場合、費用負担を気にすることなく弁護士に依頼し、難しい交渉などを任せることができますので、メリットのある特約であるといえます。
弁護士費用特約の補償上限
弁護士費用特約の上限は、相談料が10万円、弁護士費用が300万円となっています。
それで、ほとんどのケースでは弁護士費用がこの上限額を超えることはなく、自己負担はゼロと考えて差し支えありません。
「弁護士費用特約」についてのQ&A(よくある質問)
弁護士費用保険を使うと等級が下がり、翌年の保険料が上がるのではないでしょうか?
保険料が上がることはありません。▼続きを読む
弁護士費用特約は、事故の被害に遭ったために損害賠償請求に弁護士費用支出するためのものであって、等級が下がる理由となる「事故」としてカウントされないからです。
ただし、ご自身にも過失があって相手方に損害を与えたという場合に対物賠償保険を使うケース、あるいはご自身の車両の修理のために車両保険を使うというケースなど、他の種目の保険金を請求する場合に保険料が上がることはありえます。
弁護士費用特約を使えるのは裁判だけでしょうか。示談交渉の段階では使えないのでしょうか
そのようなことはありません。▼続きを読む
ほとんどの保険では、原則として、示談交渉の段階でも弁護士費用特約を使うことはできます。弊法律事務所の経験上も示談交渉の段階で弁護士費用特約が使えなかったケースは今のところ皆無です。
弁護士に依頼すると裁判といった大事になってしまうから依頼を躊躇するとお考えの方もおられるかもしれません。
しかし、弊法律事務所の経験上、大半のケースは示談交渉で妥当な解決に至っており、訴訟に至るケースは1割程度です。
弁護士費用特約を使う場合、どの段階で弁護士への依頼が可能でしょうか
いつでも可能です。▼続きを読む
そして早めに弁護士に依頼することは得策といえます。それは、被害者の方のほとんどは交通事故の交渉に関して「素人」であるのに対し、交渉相手は交通事故の「プロ」である保険会社の担当者であるため、
知らず知らず、保険会社側に都合に応じて物事が進んでしまう恐れがあるからです。
また、交通事故に遭うと、治療の最初の段階から、色々と分からないことや不安なことが多数出てきます。分からない中で、適切なアドバイスを受けたくても受けられない状況で決定していかなければならないというのは大きなストレスです。またそうした決定の中には、後々の損害賠償交渉に少なからぬ影響を与えるものもあります。
それで、早めに弁護士に依頼することは、多くの場合ベターな選択肢であるといえます。
弁護士費用特約を使うにあたっては保険会社が弁護士を指定・推薦するのでしょうか
保険会社が推薦する弁護士にする必要はありません。▼続きを読む
むしろご自身で選ぶことができます。
弁護士選びで最も重要なのは、弁護士と直接話をして、信頼できそうと感じるか、また、自分と相性が合うかといったことです。それでよく検討して、可能なら複数の弁護士に相談し、適切と考える弁護士を選ぶことがよいと思います。
歩行中や自転車事故の場合には弁護士費用特約は使えるのでしょうか
その可能性はあります。▼続きを読む
「弁護士費用特約」の多くは、交通事故による被害であれば、自動車運転中でなくても適用されます。つまり、歩行中や自転車での事故も、自身が被害者になる場合には適用できる可能性があります。
それで諦めずに保険会社の必ず担当者に確認してみるとよいと思われます。
自分に過失がある場合は弁護士費用特約は使えないのでしょうか
そのようなことはありません。▼続きを読む
ご自分が無過失(過失割合ゼロ)ではないと弁護士費用特約を使えないと思われている方もおられるようが、そのようなことはありません。
自分自身は自動車保険に入っていない場合、弁護士費用特約は使えないでしょうか
必ずしもそうではありません。▼続きを読む
例えば、家族が加入している自動車保険に「弁護士費用特約」がついている場合で、交通事故の被害者が、その契約者の同居の親族であったり、別居していても未婚の子どもであるというケースでは、その弁護士費用特約を使える可能性が高いといえます。
具体的には、弁護士費用特約の適用範囲は、多くの場合以下のようになっています。
- 被保険者
- 被保険者の配偶者
- 被保険者またはその配偶者の同居の親族
- 被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子
- 上記以外の人で、契約自動車に搭乗中の者
- 上記以外の人で、契約自動車の所有者(契約自動車の被害事故に関する損害賠償請求に限る)
それで諦めずに保険会社の必ず担当者に確認してみるとよいと思われます。
交通事故の死亡事故の場合、遺族が、被害者本人の弁護士費用特約を使うことはできるでしょうか。
可能です。▼続きを読む
自動車保険の契約者が交通事故で亡くなったという場合、遺族(相続に)は、弁護士費用特約を使って示談交渉や訴訟を弁護士に依頼することができます。
社用車で運転中に事故に遭いった場合、会社の自動車保険の弁護士費用特約は使えるでしょうか。
通常は使えます。▼続きを読む
それは、弁護士費用特約の適用範囲の中には、被保険者だけでなく、契約自動車に搭乗中の人も含まれるからです。
この点、弁護士特約を使うと保険料が上がるのでは、と誤解して会社が弁護士費用特約を使うことをためらうケースもあるようですが、弁護士費用特約を使っても、それだけで保険料が上がることはありません。
依頼した弁護士について中途での交代は可能でしょうか
可能です。▼続きを読む
例えば今依頼している弁護士の仕事が遅いとか、交通事故に詳しくない、説明が分かりにくいといった理由で弁護士の交代を考えている方もおられるかと思います。弁護士費用特約費用の範囲内であれば、今依頼している弁護士から別の弁護士に切り替えることは可能です。
ただし、必ず事前に保険会社に相談し、了承を得ておくことは重要です。
どの保険会社の弁護士費用保険にも対応しているのでしょうか?
基本的にはそのとおりです。▼続きを読む
例えば、その一部を挙げれば、以下のような損害保険会社の弁護士費用特約に対応しています。
- あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
- アクサ損害保険株式会社
- イーデザイン損害保険株式会社
- SBI損害保険株式会社
- ソニー損害保険株式会社
- 株式会社損害保険ジャパン
- チューリッヒ保険会社
- 東京海上日動火災保険株式会社
- 日本興亜損害保険株式会社
- 三井住友海上火災保険株式会社
- 三井ダイレクト損害保険株式会社
- 明治安田損害保険株式会社