7 著作権の登録制度
著作権の成立と登録の要否
著作権の成立においては、何らの方式や手続、届出等は必要なく、著作物を創作すること、実演、レコード制作、放送を行うことだけで足ります(これを無方式主義といいます。)
しかし、一定の法的な効力を発生させるために、著作権法は登録制度を定めています。また、著作権関係の法律事実を公示する、著作権が移転した場合の取引の安全を確保するといった趣旨もあります。
著作権の各登録制度の概要
実名の登録
無名または変名で公表された著作物の著作者がその実名を登録することができます(75条)。登録の申請ができるのは、著作者又は著作者によって遺言で指定された者です。
この登録を受けることにより、登録された者がその著作物の著作者として推定されます。保護期間に関し、この登録を受けることによって、実名で公表された著作物と同様、著作権の保護期間が公表後50年間ではなく、著作者の死後50年になります(75条3項)。
第一発行年月日又は第一公表年月日の登録
著作権者又は無名もしくは変名の著作物の発行者が、その著作物が最初に発行、又は公表された年月日の登録を受けることができます。
これによって、反証がない限り、登録年月日に最初の発行又は公表があったと推定されます(76条)。
プログラムの著作物の創作年月日の登録
プログラムの著作物の著作者が、その著作物について、創作後6か月以内であれば、創作年月日の登録を受けることができます。
これにより、反証がない限り、その登録年月日において当該プログラムの著作物の創作があったものとの推定を受けることができます(76条の2)。
著作権等の移転等の登録
著作権、出版権、著作隣接権について、以下の事実を登録することができ、登録しないと、第三者に対抗することができません(77条、88条、104条)
- 著作権、著作隣接権の移転等による変更又は処分の制限
- 著作権、著作隣接権を目的とする質権の設定、移転、変更若しくは消滅、又は処分の制限
- 出版権の設定、移転、変更若しくは消滅、又は処分の制限
- 出版権を目的とする質権の設定、移転、変更若しくは消滅、又は処分の制限
著作権登録の方法
登録は、登録申請書を文化庁に提出し、文化庁長官が当該事項について登録原簿に記載することによってなされます(78条1項)また、登録免許税として所定の金額の印紙を貼付します。具体的には、以下のとおりです。
- 実名登録 9,000円
- 第一発表年月日・公表年月日の登録 3,000円
- 著作権、出版権の移転の登録 18,000円
- 著作隣接権の移転の登録 9,000円
- 著作権、出版権、著作隣接権を目的とする質権の設定 債権金額の1000分の4
- 出版権の登録 30,000円
なお、プログラムの著作物の登録に関しては、指定登録機関として、(財)ソフトウェア情報センターが指定されており、プログラム著作物の登録の業務はこの機関がすべて引き受けています。
原簿の照会
著作権登録原簿、著作隣接権登録原簿、出版権登録原簿については、所定の手数料を支払った上で、原簿の謄本若しくは抄本、附属書類の写しの交付を請求することができ、又は閲覧を請求することができます。
手数料としては、著作権登録原簿等の謄本及び抄本の請求の場合は1部につき1,800円、著作権登録原簿等の附属書類(登録受付簿)の写しの交付の場合は1件につき780円、著作権登録原簿等又はその附属書類の閲覧の場合は1件につき730円が必要です。
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