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4.2.1 侵害調査~自社特許の他社による侵害

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事前の十分な調査と検討の必要性

 勝手に自社の特許を使用した商品が製造されていることに気づいた、すぐに警告したい、と思われることがあるかもしれません。しかし、無闇な方法を取ると、思わぬ落とし穴が待っている可能性があります。それでまずは、やはり弁護士又は弁理士に相談しつつ、社内できちんとした調査を行う必要があります。

 本稿では、そのアウトラインをご説明します。

特許の有効性の確認

権利の存続の確認

 まず、自社の特許権が今も有効に存続しているかどうか確認します。例えば、特許年金の納付を失念しており、権利が消滅していたということもありえるからです。

 また、特権者の存続期間(原則として出願から20年)から、自社の特許がどの程度の年数存続するのか(期間満了で消滅していないか)を検討します。

ただし、特許権が消滅していても、存続期間中の侵害行為に対して損害賠償請求を行うことは可能ですので、消滅したから何もできないと即断する必要はありません。。

権利の有効性の確認

 特許庁における先行技術調査が完全であるとは限りませんので、特許が登録されたものの、実は無効理由を含んでいる特許は珍しくありません。権利行使をした後に、逆に相手方からなされた無効審判や訴訟における無効の抗弁(特許法 104 条の 3)によって無効と判断されてしまうリスクを軽減するために、改めて先行技術調査を行って無効理由がないことを確認する場合もあります。

侵害者製品の調査

 侵害品と思われる製品を入手します。商品そのもののほか、カタログ・パンフレット、業界新聞、雑誌、インターネット、取引先・エンドユーザーなどから、あらゆる情報を入手します。展示会などで情報が得られることもあります。

 また、事前に、侵害者製品のおおよその製造販売量、利益率などを、侵害者等が発表している数字をもとに、検討できれば望ましいといえます。新聞発表、業界の統計、信用調査会社の資料、その他会計資料が利用できれば利用します。

自社特許の権利範囲の確認・侵害製品との比較

 一見他社製品が自社特許と似ていると思っても、抵触しているといえるのは、原則として、他社製品が、自社特許の権利範囲(これは特許請求の範囲、いわゆるクレーム)にあると法的に判断される場合に限られます。

 それでまず、自社特許のクレームを把握・解釈した上で、クレームに記載された特許発明の構成要件の一つ一つを、他社製品が充足しているかを検討します。また、クレームの把握にあたっては、特許登録公報の確認のほか、訂正審判などがなされている場合もありますので、この点のチェックも必要です。

 このクレーム解釈と構成要件充足性の判断は、技術的判断のほか、法的判断ですので、多くの場合、弁護士・弁理士の助言を得ることが最善といえます。

自社特許の出願過程を確認する

 出願から登録に至るまでの間等の権利取得の過程において、登録査定を得るために、意見書などにおいて権利範囲を限定解釈すべきである等と主張していることがあります。

 他社製品の自社製品との抵触について主張する場合、特許庁で行ったそのような主張と矛盾した主張をしたりした場合、不利な立場に立つ場合もありますので、特許庁での主張を踏まえた一貫した主張を検討します。

 また、予想される反論に備えるため、公知文献を調査しておくことが必要な場合もあります。

 

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