HOME >  取扱案件解説 >  取扱案件詳細・解決事例~商標法 >  目次 商標法ポイント解説 >  4.8 商標権侵害行為に対して行使できる権利

4.8 商標権侵害行為に対して行使できる権利

<ここから商標法関連ページを検索できます>

前のページ 商標の継続的使用権 ┃ 次のページ 商標侵害と損害賠償


 

 本ページでは、商標権の侵害という事実があった場合、侵害者に対してどんな請求ができるのか、その概要をご説明します。

商標権者の権利の概要

 商標権の侵害があった場合、商標権者には、以下の権利があります。

差止請求

 商標法36条に定められている権利です。簡単にいえば、商標権の侵害行為の停止を請求するほか、侵害の予防の請求を行うことのできる権利です(商標法36条1項[カーソルを載せて条文表示])。

 また、侵害製品の廃棄やその製造設備の除却などの請求ができる場合もあります(商標法36条2項[カーソルを載せて条文表示])。

損害賠償請求

 商標権侵害行為によって被った損害について賠償を求めることができる権利です。

 商標法の特徴は、侵害行為による損害額の算定規定を特に設けていることです(商標法38条)。それによって、侵害行為との因果関係のある損害の立証という高いハードルを大幅に下げることができます。

 また、一般に、侵害者に対して損害賠償請求をするためには、侵害者に故意・過失が必要ですが、この点でも、侵害行為があれば過失があったものと推定する(商標法39条で準用する特許法103条)とされており、立証のハードルが下がっています。

 この点、商標権の侵害による損害賠償の考え方の詳細は、こちらのページをご覧ください。

信用回復措置請求

 商標権者の業務上の信用を害した者に対して、商標権者は、信用を回復するための措置を求めることができます(商標法39条で準用する特許法106条)。

差止請求権の概要

 以下、商標権侵害行為に対して行使できる権利の一つとしての「差止請求権」について解説します。

 差止請求には、以下のような請求があります。

侵害行為の停止を求める権利

 商標権侵害に当たる行為の停止を求める権利です(商標法36条1項[カーソルを載せて条文表示])。

 例えば、商標権を侵害する商品の製造や販売の停止を求めることができます。また、侵害製品を展示したり、侵害製品について広告をしたり、販促資料を頒布するといった行為の停止を求めることもできます。

侵害行為を組成した物の廃棄を求める権利

 「侵害行為を組成した物」の典型例としては、侵害となる標章が付された製品の廃棄を求めることができます。

 また、侵害となる標章が付されたポスター、チラシ、カタログといった販促資料の廃棄を求めることができます。看板といった掲示も廃棄の対象となる場合があります。

 さらに、飲食業などであれば、侵害となる標章が、食器などの用具に付されていると、これも廃棄の対象となる場合があります。

侵害行為に供した設備の除却を求める権利

 「侵害行為に供した設備」としては、例えば侵害品を製造するための金型の除却といったものが考えられます。また、侵害品の半製品も除却請求の対象となる余地があります。

信用回復の措置の請求の概要

信用回復の措置とは

 信用回復の措置とは、商標権の侵害行為によって害された商標権者の業務上の信用を回復するための措置のことをいいます。これは、商標法39条で準用する特許法106条([カーソルを載せて条文表示])に定められています。

 例えば、侵害品の品質が粗悪であったため、商標権者のブランド価値が毀損され、商標権者の業務上の信頼が害されるというケースが想定されます。そのような場合に、この信用回復措置を求めることを検討できます。

信用回復の措置の例

 信用回復の措置としては、謝罪広告の掲載を求める例が多いといえます。具体的には、一般紙(全国紙、地方紙)の場合、業界紙の場合もありますし、侵害者のウェブサイトへの謝罪広告も挙げられます。

 この点、どんな媒体にどの範囲での謝罪広告を求めるかについては、信用が害された程度等に照らして必要な限度に留める必要があります。

前のページ 商標の継続的使用権 ┃ 次のページ 商標侵害と損害賠償

 
 

法律相談等のご案内


弊所へのご相談・弊所の事務所情報等については以下をご覧ください。



メールマガジンご案内

弊所では、メールマガジン「ビジネスに直結する判例・法律・知的財産情報」を発行し、比較的最近の判例を通じ、ビジネスに直結する法律知識と実務上の指針を提供しております。

学術的で難解な判例の評論は極力避け、分かりやすさと実践性に主眼を置いています。経営者、企業の法務担当者、知財担当者、管理部署の社員が知っておくべき知的財産とビジネスに必要な法律知識を少しずつ吸収することができます。 主な分野として、知的財産(特許、商標、著作権、不正競争防止法等)、会社法、労働法、企業取引、金融法等を取り上げます。メルマガの購読は無料です。ぜひ、以下のフォームからご登録ください。

登録メールアドレス   
<クイズ> 
 これは、コンピュータプログラムがこの入力フォームから機械的に送信することを防ぐための項目です。ご協力をお願いいたします。
 

バックナンバーはこちらからご覧になれます。 https://www.ishioroshi.com/biz/topic/

ご注意事項

本ページの内容は、執筆時点で有効な法令に基づいており、執筆後の法改正その他の事情の変化に対応していないことがありますので、くれぐれもご注意ください。

 事務所案内
 弁護士紹介


メールマガジンご案内


メールマガジン登録
「ビジネスに直結する
判例・法律・知的財産情報」


登録メールアドレス  
<クイズ> 

上のクイズは、ロボットによる自動登録を避けるためです。


商標法・意匠法メニュー

Copyright(c) 2020 弁護士法人クラフトマン ITに強い、特許・商標に強い法律事務所(東京・横浜) All Rights Reserved.

  法律相談(ウェブ会議・面談)

  顧問弁護士契約のご案内


  弁護士費用オンライン自動見積


   e-mail info@ishioroshi.com

  電話 050-5490-7836

メールマガジンご案内
ビジネスに直結する
判例・法律・知的財産情報


購読無料。経営者、企業の法務担当者、知財担当者、管理部署の社員が知っておくべき知的財産とビジネスに必要な法律知識を少しずつ吸収することができます。

バックナンバーはこちらから