使用者の義務~セクハラに関する問題

安全配慮義務としてのセクハラ防止義務

セクハラ防止の義務の根拠

 安全配慮義務の一環として、また男女雇用機会均等法により、セクハラ防止は会社の義務とされています。そして、セクハラ行為に関する会社の責任は厳格になり得るとはいえ緩和されることはないと考えられます。

セクハラ防止のための方策の例

 多くの会社においては、セクハラ防止のための組織・体制や規則の整備が進められていると思われますが、昨今の判例の動向を考慮するならば、これら規則類が実効性を持つような方策を取ることが望まれるといえます。その中には以下のものが考えられます。

相談・苦情への対応

 多くの裁判例は、会社のセクハラ行為に関する事実関係の調査が不十分であり、加害者に対する適切な処置を怠ったことについて、義務違反があるとされています。

 それで、会社内で、セクハラ行為に関する相談窓口を設けること、相談・苦情が寄せられた場合には、きちんと事実関係の確認を行うことが必要でしょう。

セクハラ行為が生じた場合における事後の迅速かつ適切な対応

 セクハラ行為の事実が確認された場合には、加害者に対する適切な懲戒等の措置を講じる要否を検討します。

 さらに、被害者と加害者を引き離すための配置転換、加害者の謝罪、被害者の労働条件上の不利益の回復(セクハラ行為に対する被害者の対応を理由に、被害者が解雇、降格、減給等をされていたならばこれらの回復を行う)なども、無視すべきではないでしょう。



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