クレーム対応法務
対企業クレームと事業者の悩み
クレーム対応の重要性
消費者などからのクレームは、中小企業の経営者や大企業の担当者の悩み種のうち大きなものの一つです。もちろん、正当なクレームは真摯に対応すべきことはいうまでもありませんが、悪質・理不尽なクレームは経営者や担当者を疲弊させてしまいます。
特に最近は、電話などの録音がきわめて容易である上、クレーム対応を誤ると、企業側の対応が、文字や場合によっては音声などまでインターネットに公表され、企業の信用の低下のリスクにさらされるというおそれが今までになく高まっています。
弊所では、こうしたクレーム対応に関して経験とノウハウを持っております。以下、企業が悪質・理不尽なクレームに対応する場合のポイントと、弁護士がどのようにお手伝いができるかをご説明します。
正当なクレームか不当なクレームかを見極める
まず、クレームが正当なクレームかどうかを見分ける必要があります。具体的には、以下の要素を考えて判断します。
- 会社側にミスや不手際があるか否か
- その不手際によって、相手方に何らかの具体的な損害が生じているのか。その損害には裏付けはあるか(あるいは裏付けがないが合理的に認められるものか)
- 相手方の要求内容は適正妥当なものか
- 相手方の要求の方法は適正妥当なものか
悪質クレームを受けたときの対応
以下、企業が悪質・理不尽なクレームに対応する場合のポイントについてご説明します。
複数で対応する
まず、「一人で対応しない」が、悪質なクレーム対応の鉄則です。
悪質なクレームに対し1名で対応を続けると、まず心理的・精神的に疲弊してしまい、判断や発言にミスが生じやすくなります。また、自分の近くに人がいるというだけでも安心感につながり、疲弊を避けることにつながります。
また複数で対応することで、記録も取りやすくなります。それは、話をする人と記録を取る人に役割分担をすることができるからです。
記録をとっておく
悪質クレーマーとのやり取りは、すべてについて記録をとっておくようにします。また、可能なら録音もしておくとよいと考えられます。
即答しない
悪質クレーマーから、その場での回答を要求されることがあります。例えば、「担当者なのにそんなことも自分で判断できないのか」等と迫られるかもしれません。
しかし、そういった場合でも即答をしないという対応で通すことは、大やけどを避けることにつながります。「会社として意思決定しなければなりませんので、私の一存では決められません。」「会社と協議して後日書面にて回答します。」といった対応ができると思われます。また言われるがままにその場で回答してしまうと、要求がエスカレートすることもあります。
警察に通報する
顧客について警察に通報することを躊躇するかもしれません。しかし、悪質なクレーマーの行為のなかには犯罪となるものもあり、顧客なら何でも許されるわけではないことは当然です。警察に通報することを躊躇する理由はありません。
また、犯罪的行為をそのままにしておいた結果、悪質なクレーマーの要求がさらに過大・過激になったり、行動がエスカレートすることもある一方、警察を呼ぶなど毅然とした対応で悪質なクレーマーが自制する方向に行くこともあります。
弁護士と連携する
クレーマー対策を扱う弁護士と連携することはプラスとなります。まず、都度弁護士に相談することで、例えば「録音してもいいのだろうか」「こんなことを言ってもいいのだろうか」「この人(クレーマー)が行ったことは犯罪にならないのだろうか」といった、一つ一つの悩みについて答えが得られ、不安が軽減されます。
また、担当者では手に負えない場合、弁護士に依頼して交渉の窓口となってもらう、という方法も有効です。そうすると、担当者も、交渉窓口が弁護士となり、冷静かつ適切に判断する余裕が生まれるかもしれません。弁護士であれは、仮処分、訴訟、民事調停といった法的な手段も利用することができ、法的に対抗する手段を持ち合わせています。
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