2024-09-17 クリエイティブ・コモンズ・ライセンスと著作権
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なお、このトピックは、メールマガジン発行日現在での原稿をほぼそのまま掲載しており、その後の上級審での判断の変更、法令の改正等、または学説の変動等に対応していない場合があります。 |
1 クリエイティブ・コモンズ・ライセンスと著作権
東京地裁令和3年10月12日判決
A氏は、自己が撮影した写真を、ある画像共有サイトに投稿し、当該写真には、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)を付していました。
具体的には、「著作者のクレジット(氏名、タイトル等)の表記」と、「改変した場合は原作品と同じライセンスを付加する」をライセンス条件としていました。
B社は、自社が運営するウェブサイト上で、自社の記事を紹介するアイキャッチ画像としてA氏の写真を掲載しましたが、前記許諾条件(クレジット表記)をしていなかったため、A氏がB社に対して著作権侵害を主張し、損害賠償請求をしました。
裁判所は、著作権の侵害を認めました。損害額については、A氏の写真が鑑賞対象として掲載されたわけではないこと、ウェブサイト上の位置づけの小ささ、閲覧回数等に照らし、著作権侵害については1万円、著作者人格権侵害については3万円とされました。
解説
クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは、クリエイティブ・コモンズが設定するライセンスルールです。
作者は、所定のマークを組み合わせたロゴを表示することで、自己の作品の利用条件を発信することができます。以下は所定のマークを組み合わせたロゴの一覧です。
【出典:クリエイティブ・コモンズ・ジャパンの公式サイト「クリエイティブ・コモンズ・ライセンスとは」より(同ページのライセンス条件)
設定できる利用条件には以下のようなものがあります。
・クレジット(氏名、作品タイトルなど)を表示すること
・改変した場合には原作品と同じCCライセンスで公開すること
・改変を禁止すること
・非営利目的で使用すること
そして利用者は、そのロゴから容易に利用条件を確認できるため、面倒な手続を経ることなく作品を利用できます。このようにして、著作権が侵害されることなく作品を自由に流通させることができるという仕組みが、クリエイティブ・コモンズです。
ただし、利用側としてはいくらかの留意点があります。その一部をご紹介します。
CCライセンスが表示されている写真であっても、作者自身以外の人物や有名なキャラクターがはっきりと写っている場合、当該人物の肖像権やキャラクターの著作権について同意が取れているのか不明なケースがあります。この場合、その写真の使用については慎重な検討が必要です。
「改変禁止」の作品を利用する場合にも注意が必要です。一般的には、ある作品を、自社のウェブサイトでの配置に合わせて僅かにリサイズしたり解像度を微調整する程度なら複製の範囲であり著作権法上は改変に当たらないと考えられています。他方、色調を変化させたりトリミングするといった改変になると「改変禁止」に抵触するおそれは高くなります。それで、具体的なケースでは、作者に確認するとか、弁護士などの専門家への相談が必要となるかもしれません。
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4 弊所ウェブサイト紹介~IT・ソフトウェア・システム開発
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弊所のウェブサイトの法律情報の解説のページには、ビジネス・企業に関係した法律情報に関する豊富な情報があります。
本稿のテーマに関連した、IT・ソフトウェア・システム開発・コンピュータ関連問題は弊所の最大の取扱分野の一つです。
https://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/it/index/
にあるとおり、システム開発委託契約、ソフトウェア使用許諾契約、ソフトウェアOEM契約といった契約のポイント、オープンソースやシステム開発に関連した法律問題・係争に関する解説など豊富な解説を用意しています。
なお、同サイトは今後も随時加筆していく予定ですので、同サイトにおいて解説に加えることを希望される項目がありましたら、メールでご一報くだされば幸いです。
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