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2021-05-10 メタタグでの他社ブランドの使用と不正競争行為

ここでは、弊所発行のメールマガジン「ビジネスに直結する判例・法律・知的財産情報」のバックナンバーを掲載しています。同メルマガでは、比較的最近の判例の紹介を通じ、ビジネスに直結する法律知識と実務上の指針を提供します。

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今回の事例 メタタグでの他社ブランドの使用と不正競争行為

 知財高裁令和1年10月10日判決

 浄水器互換カートリッジの販売会社A社は、自己のネットショップにおいて、”description”といわれるメタタグに、浄水器等の製造販売をするB社の周知なブランド名を含めていました。そのため、検索エンジンの検索結果のタイトルとして、「B 取付互換性のあるカートリッジ 浄水器カートリッジ」という表示がされました。

 これに対しB社がA社に対し、当該行為が不正競争行為にあたると主張しました。

 裁判所は、A社の上記のような行為によって、需要者が、B社のブランド名を、A社の商品の出所を示すものと認識するから、不正競争防止2条1項1号の周知表示混同惹起行為に該当すると判断しました。

解説

 事業やビジネスを一定期間行っていくと、自社のブランドといった「印」に信用が蓄積され、顧客の間で一定の知名度を持つに至ることがあります。こうした場合、競合他社が、このような周知の「印」を、混同を招くような方法で利用して自社の商品の販売に結びつけようとする行為は不当であり、不正競争防止法2条1項1号は、このような行為を「周知表示混同惹起行為」として禁止しています。

 なお、この点の詳細は、以下をご覧ください。
 https://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/fukyouhou/index/fuseikyousou_1gou/

 どんな行為が「周知表示混同惹起行為」になるかについては多くの裁判例がありますが、本件のように、すぐには目に見えない「メタタグ」に他社のブランドなどを入れておくことも、結果として検索結果のタイトルに表示されるため、不正競争行為に該当すると判断されました。

 したがって、例えば競合する有名な他社ブランドを検索した消費者を自社に誘導しようとするなどの目的で、「メタタグ」に他社のブランドを入れる行為は基本的には避ける必要があると思われます。

 他方、本件のような互換製品を販売する事業者のように、他社製品との互換性を示すために当該他社のブランドを使用する必要性を感じることも事実です。

 この点、裁判所は、メタタグの中でも「Bの浄水器に使用できる、取付け互換性の交換用カートリッジ」という表示については、不正競争行為を否定しています。

 このように、メタタグに他社のブランドを使用することがすべて不正競争行為に該当するものではありません。とはいえ、適法と違法の境界線は必ずしも明確ではなく、安易な判断は紛争を招くことになりますので、仮にこうした表示を検討するとしても、専門家の意見も聞きつつ相当慎重な検討が必要になると思われます。

弊所ウェブサイト紹介~不正競争防止法解説

弊所のウェブサイトの法律情報の解説のページには、ビジネス・企業に関係した法律情報に関する豊富な情報があります。

例えば本稿のテーマに関連した不正競争防止法については

 https://www.ishioroshi.com/biz/kaisetu/fukyouhou/index/

において、不正競争防止法の各事項について解説しています。

ぜひ一度ご覧ください。

なお、同サイトは今後も随時加筆していく予定ですので、同サイトにおいて解説に加えることを希望される項目がありましたら、メールでご一報くだされば幸いです。



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