英文雇用契約(Employment Agreement)の主要条件の解説
本ページでは、英文契約のうち、雇用契約のアウトラインについて解説します。なお、この契約書は、日本の労働法に基づき日本で雇用することを前提にしていますので、海外の法制度とは適合していない場合があります。
雇用契約の特徴
雇用契約書のタイトル
英文契約において雇用契約は、通常、”Employment Agreement”(または”Employment Contract”というタイトルが付されることが多いと考えられます。そのほか、”Employee Agreement”ということもあります。
雇用契約の要件~労働基準法適合性
日本で雇用することを前提にすると、雇用契約は、英文であっても労働基準法に適合させることは必須条件となります。
この点、労働基準法及び労働基準法施行規則では、以下の条件を明示する義務を定めています(労働基準法15条、労働基準法施行規則5条)。
必ず明示しなければならない事項
(1)労働契約の期間
(2)就業の場所・従事する業務の内容
(3)始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間
(4)休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換(交替期日あるいは交替順序等)に関する事項
(5)賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項
(6)退職に関する事項(解雇の事由を含む)
(7)昇給に関する事項
制度を設ける場合に明示しなければならない事項
(8)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、支払時期に関する事項
(9)臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項
(10)労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
(11)安全・衛生に関する事項
(12)職業訓練に関する事項
(13)災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
(14)表彰、制裁に関する事項
(15)休職に関する事項
英文雇用契約の規定のポイント
以下、本ページでは、日本法を前提として、英語による雇用契約(Employment Agreement)の主要なポイントについてご説明します。なお、この部分については主要条項の一部の説明ですので、今後必要に応じ加筆する予定です。
なお、以下のサンプルはもっぱら主要条項の趣旨・関連論点の解説を目的としています。それで、契約条項としての完全性や条項間の整合性、また用語の統一性については考慮・検証していません。それで、本ページのサンプルを「雛形(ひな形)」として使用することはご遠慮ください。
雇用期間
規定例
Article ** (Employment Term) 第*条(雇用期間) |
条項のポイント1~雇用期間の明示
雇用期間の明示は、労働基準法施行規則5条1項1号で定められた、労働契約の際に明示すべき事項の一つです。
上のサンプルのように、日本の雇用で多い、無期雇用契約の場合、契約期間がない旨を定めます。他方雇用期間がある場合期間を明示します。
条項のポイント2~試用期間
多くの企業では試用期間を就業規則で定めています。試用期間は3~6ヶ月が多いようです。試用期間は雇用契約において必須の事項とはいえませんが、契約書に示しておくほうが望ましいと考えます。
就業場所
規定例
Article ** (Employment Term) |
条項のポイント1~就業場所の明示
就業場所の明示は、労働基準法施行規則5条1項1号の2で定められた、労働契約の際に明示すべき事項の一つですので、しっかりと記載する必要があります。
条項のポイント2~就業場所変更可能性の明示
もっとも、労働契約後、転勤、出向といった人事異動はありうることですから、こうした点を踏まえ、労働契約時の就業場所を明示しつつ、その後の変更が可能なように定めることが一般的です。
業務内容
規定例
Article ** (Work to be Performed) |
条項のポイント1~従事業務の明示
従事すべき業務の明示は、労働基準法施行規則5条1項1号の2で定められた、労働契約の際に明示すべき事項の一つですので、しっかりと記載する必要があります。
条項のポイント2~従事業務変更可能性の明示
もっとも、特に日本の会社の場合、本人の適性・能力、会社側の事情などから配置転換がなされ、従事業務が変更されることはありうることです。それで、こうした点を踏まえ、従事業務の変更が可能なような規定を定めることが一般的です。
就業時間
規定例
Article ** (Working Hours) |
条項のポイント1~就業時間の明示
始業時間と終業時間、及び休憩時間は、労働基準法施行規則5条1項2号で定められた、労働契約の際に明示すべき事項ですので、しっかりと記載する必要があります。
条項のポイント2~時間外労働の有無の明示
また、時間外労働をお願いする必要の有無についても、労働基準法施行規則5条1項2号で定められた、労働契約の際に明示すべき事項です。例えば業務の性質上時間外労働が想定しにくい場合でも、特別の事情で時間外労働が発生しないとは断定できないときは、時間外労働の場合があることを触れておくほうが無難かもしれません。
なお、時間外労働が、法定労働時間(1日8時間、1週40時間)外の場合、又は法定休日になされる場合、いわゆる「36協定」(労働基準法36条[カーソルを載せて条文表示])が必要となります。
休日
規定例
Article ** (Days of rest) 第*条(休日) |
条項のポイント~休日の明示
休日についても、労働基準法施行規則5条1項2号で定められた、労働契約の際に明示すべき事項ですので、しっかりと記載する必要があります。
また、休日の変更が可能なような規定もあわせて定めることが一般的です。
このページは執筆中です。加筆次第随時公開します。
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