英文株式譲渡契約の解説
本ページでは、英文の株式譲渡契約のアウトライン、また株式譲渡契約の主要な条項の一部について、簡単なサンプルを通してポイントをご説明します。
株式譲渡契約とは
株式譲渡契約は、M&Aの一つの方法として、対象企業の経営権を手に入れるために、対象企業の株主から、その保有株式を買い取るための契約です。英語では、Stock Purchase Agreement (SPA)とか、Share Transfer Agreementなどといいます(他の言い方もあります)。
株式譲渡については、商品の譲渡に比べ、発生するリスクはきわめて多種多様です。それは、株式譲渡が、会社という、経営要素の生きた集合体の譲渡だからです。また、株式を譲り受ける当事者は、一定の意図や目的をもって譲渡を受けます。こうした意図や目的をスムーズに実現するためにも多くの取り決めが必要です。
なお、M&Aに伴う株式譲渡についての説明は、「株式譲渡の解説」のページをご覧ください。
株式譲渡契約の主要条項の解説
以下、英文による株式譲渡契約の主要条項の一部を、サンプル条文を通じてご説明します。なお、このサンプル条文については、もっぱら説明のためのものであり、完全性や条文間の整合性などは保証しておりませんので、これをひな形(雛形)として使用することはご遠慮ください。
また、以下のサンプルは、日本の会社の株式の譲渡を前提としていますので、法制度の異なる海外の会社の株式譲渡は念頭に置いていません。
株式譲渡の合意
Article ** (Purchase and Sale) 本契約に定める条件にしたがって、第**条に定めるクロージング日において、売主は、第*条に定める対価で、別紙1に定める対象会社の全発行株式(以下「本件株式」)を買主に譲渡し、買主はこれを売主から譲渡を受ける。 |
最も基本的な規定として、株式売買の合意を規定します。「どの会社」の株式の譲渡か、株式数や株式の種類(普通株式、優先株式等)を規定します。
また、多くのケースでは、譲渡契約締結→譲渡のための手続履践→クロージングというプロセスを経ます。それで、代金を支払い、譲渡の効力を発生させる日(Closing Date)についても明示することが少なくありません。
譲渡対価
Article ** (Purchase Price) 本件株式の全対価として、クロージング後ただちに、買主は売主に、日本円で1億円(以下「譲渡対価」)を支払う。 |
基本的な条件の一つとして、いくらで譲渡するか(対価の額)を規定します。
また、譲渡契約締結→譲渡のための手続履践→クロージングというプロセスの中で、どのタイミング・時期で支払いを行うかも書きます。実務上は、クロージング後ただちに(実際にはクロージングの場で書類を確認し、すぐに送金を手配する)ということが多いと考えられます。
クロージング
Article ** (Closing) 本契約の条件に基づき、本件株式の売買を、2020年4月1日(以下「クロージング日」)午後13時、対象会社の事務所にて、クロージング(以下単に「クロージング」)において実行する。 |
クロージングの日と場所、時間を定めます。
クロージングにおいては、所定の日時場所において売主側と買主側が一堂に会して、クロージング条件成就の確認、引渡書類の提示・引渡と代金の決済などが行われます。
売主側の引渡書類等
Article ** (Seller's Closing Deliveries)
クロージングにおいて、売主は、買主に以下のものを引き渡す。 |
クロージング日に売主が引き渡すべき書類をもれなく列挙します。
こうした書類は多岐にわたります。また上のサンプルでは、対象となる会社が株券発行会社であることを前提に代表的なものの一部を列挙していますが、ケース・バイ・ケースでしっかりと検討すべき箇所です。
本ページは執筆中です。加筆し次第、随時公開していきます。
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