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4.2.2 権利行使の判断と方法~自社特許の他社による侵害

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権利行使をするか否かの判断

 調査の結果、侵害の可能性が高いと考える場合であっても、権利行使をするか否か、またそのタイミングは、ビジネス上のもろもろの観点から検討・判断する必要があります。自社のビジネスから見た効果とデメリットを考えていく必要があります。

自社の事業内容とポジション

 自社が、特許権などを実際に実施して製品を製造している場合、自社が権利行使をすると、相手方から逆に、相手方が保有する特許権に基づき権利行使を受け、より大きなダメージを受けるリスクが生じる場合があります。それで、自社製品が当該相手方の権利に抵触するおそれがないか、調査する必要があります。

 他方,開発専業企業などにおいては、そのようなリスクはないため、この点から権利行使を控える理由は、通常はありません。

市場や相手方の動向

 自社の特許に関する製品が、全く新しい種類・タイプの製品であるという場合にも、取るべき戦略によっては、すぐに権利を行使しないという場合もあります。

 まず、全く新しい種類・タイプの製品であるが、十分な売上が見込める場合、又は自社だけで市場の拡大を望める場合、最初から自社の製品だけで市場を独占できるよう、侵害品に対して積極的に権利行使すべきと判断されるかもしれません。

、他方、市場規模の拡大がまずは優先されるような場合もあります。この場合、市場が拡大し、そのようなタイプの製品が認知されるまで、ある程度静観するという方法もあります。その上で、侵害者に対し損害賠償請求をしたり、ライセンスやクロスライセンスに至る、という作戦もありえます。

自社と相手方との関係

 侵害者が自社の競業他社である場合には、通常は、権利行使ができない理由は多くはありません。もっとも、競業他社であっても、別の製品では顧客ということもあります。また、全面的な競業関係にあっても、その製品分野や技術分野で包括的クロスライセンス契約をしているという場合もありますから、契約を管理している部署などに確認する必要がある場合があります。

 また、競業他社の製品の製造販売を差し止めると、自社の顧客から「二社購買」ができなくなって困ると言われるようなこともありますから、顧客から感触を得ておくことが必要な場合もあります。

権利行使の方法

 前記の調査の結果、他社製品が自社特許と抵触している可能性が高いと判断した場合は、以下のようなアクションを取ることが考えられます。

警告書の送付

  まずは当該他社に対し、書面で警告します。通常のビジネスレター形式で送付する場合もあれば内容証明郵便で送る場合もあります。

 どちらで送るかはケース・バイ・ケースですが、ライセンスの可能性も念頭に置く場合、相手方がそれなりの会社できちんとした対応をすることが期待できる場合等のケースでは、ビジネスレター形式で送ることをまずは検討できるかもしれません。

当該他社の取引先に対する警告の可否

  当該他社の取引先に対して、自社特許侵害の旨を告知することは可能でしょうか。これは確かに、ビジネス的な観点から見れば当該他社にダメージを与えられる効果的な手段なのかもしれません。

 しかし、取引法に対してかかる警告を行った後、後に実は侵害ではないことが判明した場合、その警告の行為が不正競争防止法上の不正競争にあたるとされ、自社が逆に損害賠償請求を受ける恐れもあります。

 それで、このような方法は、通常は取るべきではありません。

ライセンス交渉

  警告の結果、又はその後の交渉の結果、当該他社がライセンスを申し入れる場合があります。

 この場合に、ライセンス(許諾)をするか否かは、自社の方針次第でしょう。また、条件によってはライセンス可能なこともあるかもしれません。

 さらに、実は当該他社も、自社の製品と抵触しそうな特許を持っているとか、自社の製品に使用したい特許を持っているという場合、いわゆるクロスライセンスも検討できるかもしれません。

訴訟提起、民事保全申立

 警告の後、当該他社が無視した場合、又は交渉で妥結しなかった場合、法的手段を検討します。なお、訴訟と仮処分の詳細は、こちらをご覧ください。

輸入差止申立

侵害者が海外企業であり日本に営業拠点がない場合、又は侵害品が海外から輸入さていると思われるものの、製造者や販売ルートが不明である場合、税関に対する輸入差止申立が功を奏する場合もあります。

 

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