ソフトウェアOEM契約のポイント

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本ページでは、ソフトウェアのOEM取引とOEM契約のアウトライン、またOEM契約の条項の一部についての簡単なサンプルをご説明します。

OEMとは

 OEMとは、”Original Equipment Manufactuer”の略であり、A社が製造する製品をB社がB社のブランドとして販売する取引をいいます。

 ソフトウェアのOEM取引については、OEM元(メーカー)が持っているソフトウェアをほぼそのままOEM先に提供してOEM先が自社ブランドとして販売する場合と、OEM元(メーカー)の製品であるソフトウェアをOEM先用にカスタマイズして、OEM先がそれを自社ブランドとして販売するという場合も少なくありません。

OEM契約の主要条項の解説

 以下、ソフトウェアOEM契約の主要条項の一部を、サンプル条文を通じてご説明します。なお、このサンプル条文については、もっぱら説明のためのものであり、完全性や条文間の整合性などは保証しておりませんので、これをひな形(雛形)として使用することはご遠慮ください。

契約当事者

株式会社A(以下「甲」という。)と、株式会社B(以下「乙」という。)は、乙が製造するソフトウェア製品のOEM取引に関する基本的事項につき以下のとおり合意したので、本契約を締結する。

 契約当事者は、OEM先(ソフトウェアの提供を受け自社ブランドで販売する当事者)と、OEM元メーカー(ソフトウェアをOEM先に提供する当事者)となります。

契約の目的・基本的取引内容

第*条(目的)
1 甲は、本契約に定めるところにより、乙が製造する第●条記載のソフトウェア製品(必要に応じカスタマイズしたものを含む。以下「対象製品」という。)につき、自己の商号及び商標のもとで販売することとする。
2 甲と乙は本契約において前項の取引に関する基本条件を定めるものとする。

 上のサンプルのように、契約の目的・基本的取引内容は主として以下のようなものとなることが一般的です。

  • OEM元は、自社のソフトウェア製品をOEM先に販売する。
  • OEM先は、提供をソフトウェア等を、自社が選定する任意のブランド・商標を付して第三者に販売することができる。

カスタマイズの有無

第*条(カスタマイズ)
1 甲の納入先の希望により対象製品のカスタマイズが必要となる場合、乙は、甲との合意に従ってカスタマイズ作業を行うものとする。この場合のカスタマイズの内容、仕様、費用、納期等の詳細は、別途定める。
2 対象製品のうち、前項のカスタマイズにかかる成果物に関する著作権は、第●条の定めと同様乙に留保されるものとし、かつ本契約期間中は甲に対して独占的にその利用が許諾されるものとする。

 売買対象のソフトウェアを提供する際に、製品の機能・画面・仕様等についてカスタマイズするのか否かを明確にします。また、カスタマイズ作業を行う場合、以下を含む各事項を明確にします。

  • カスタマイズの作業内容
  • カスタマイズ部分の成果物の権利の帰属
  • カスタマイズ作業についての独立した対価の有無

 もっとも、カスタマイズの内容について、OEM先の客先の業種・業務内容・実務の方法に応じて都度変わるという場合、OEM契約では詳細を定めず、上のサンプルのように一般的なカスタマイズの義務のみを定め、詳細は都度合意という定め方もあります。

 また、カスタマイズ部分の著作権などの権利の帰属については、OEM先に移転する定め方、OEM元に留保される定め方、OEM元に留保しつつも契約期間中はOEM先に独占的に許諾するという定め方、など様々なバリエーションがあります。

最低購入目標

第*条 (最低販売数量)
1  本契約の有効期間において、甲が対象製品を販売する数量は、年間10本以上とする(以下「最低販売数量」という)。
2  ある年における甲の販売実績が前項の最低販売数量に達しなかった場合、甲は乙に対し、当該年満了日の翌月末日限り、違約金として、不足の数量に●●円を乗じた金額を支払うものとする。

 OEM先が購入する製品について、最低購入数量を定める場合があります。例えばカスタマイズ作業について独立して対価の授受がない場合であれば、OEM元としてはその部分の開発コストを回収するために最低購入数量を定めたいと考えるかもしれません。

 あるいは、OEM契約が存続する間、OEM先が当該製品を独占的に販売するという内容が契約に含まれる場合、OEM元としては一定の最低購入数量を定めたいと考えるかもしれません。

 また、最低購入数量に達しない場合の対応についても種々の定め方があります。上のサンプルのように違約金の定めを置く場合のほか、契約解除事由として定める場合、独占販売権を非独占権に変更する定めを置く場合、カスタマイズ作業の対価を別途請求できるという定めを置く場合などです。また、特に定めを置かず、努力義務にとどめる方法もあります。

著作権等の帰属・使用許諾

第*条(対象製品の著作権・知的財産権)
1  乙は甲に対し、対象製品につき、本契約に定める目的の範囲内に限り、日本国内において非独占的に使用する権利とともに、甲の直接の客先に非独占的に使用を許諾する権利を許諾する。
2  前項の使用許諾は、いかなる場合も、対象ソフトウェアについての著作権及びその他の知的財産権の移転を伴わないものとする。

 OEM取引の対象となるソフトウェア製品の著作権等の知的財産権の帰属について定めます。OEM取引の場合、こうした権利がOEM先に移転することは少ないとは思いますが、何らかの事情でそうする場合、その旨を明示します。また、著作権等が移転しない場合、OEM元からOEM先・エンドユーザーへの使用許諾の内容を明示します。

 ただし、製品をカスタマイズして提供する場合、前述のとおり、カスタマイズした部分についての著作権等の知的財産権はOEM先に移転させることもあるかもしれません。

 


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