英文契約一般条項 Assignment(譲渡禁止)
譲渡禁止条項の一般例
英文契約書に頻繁に登場する一般条項として、”No Assignment(譲渡禁止規定)”があります。典型例としては以下のようなものです。
This Agreement or any part thereof may not be assigned or transferred by either party without prior written consent of the other party. Any assignment or transfer without such consent shall be null and void. 本契約またはその一部については、相手方の書面による事前の同意がなければ、譲渡できないものとする。同意なしになされた譲渡は無効とする。 |
譲渡禁止条項の意味・意図
当然ですが、契約締結に至る大きな理由は、契約の相手方が信用に足りると考えるからです。ところが、仮に相手方が自由に契約を譲渡できるとなると、契約当事者にとって重大な事態となります。契約相手先が変われば履行能力や履行の誠実さに重大な疑義が生じることがありますし、相手方の所在地によっては契約の履行のためのコストが変わってくることもありえます。
また、万が一、契約を譲り受けた会社が自社のライバル企業であった場合、自社の営業秘密が競業他社に漏れてしまうという想定外の事態も発生しえます。
それで、英文契約においては、「相手方の事前の書面による承諾がない限り」譲渡できないという形で、一般的に譲渡を禁止し、移転を許可するか否かは個別に判断するという規定とすることが最も多いといえます。
譲渡禁止条項に例外を設ける場合
他方、一定条件で契約譲渡を認めるという規定の仕方もあります。例えば、親会社から子会社へ、または子会社から親会社への譲渡は例外的に自由とするという規定が考えられます。また、譲渡後も、従前の契約当事者が、譲渡後の当事者と同様に履行の責任を負担し続けるといった条件を付すことによって譲渡を認める(重畳的債務引受)、という規定の仕方もあるかもしれません。
あるいは、契約の譲渡は相手方の承諾を条件とするものの、事業譲渡等のM&Aに伴う譲渡の場合、相手方は合理的な理由がなければ承諾を拒否することができないといった規定の仕方もあります。
それで、契約の譲渡に関する規定についても、契約の実行段階に起こりうる事態を想定、契約譲渡条項の内容を検討することが重要といえます。
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