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4.1.1 他者からの特許侵害主張への対応~概要

以下の検索ボックスを利用して、特許法関連のページから検索できます。

自社商品につき「特許侵害」と主張された場合の対応方法

 他社から、自社商品が「特許侵害」であると主張する警告書や通知書が送られてくるということがあるかもしれません。この場合、どのように対応すべきでしょうか。

 この場合は、慌てずに、順を追って対処します。素人判断をせず、早急に弁護士又は弁理士に相談し物事を進めることが確実でしょう。

 本稿では、対応のアウトラインをご説明します。

権利の確認-資料収集

 まずは事実関係と権利について調査します。その中には、以下の事項が含まれることが一般的です。

特許の有効性の調査

  特許公報、特許登録簿謄本、経過情報から、特許権が有効に存続しているかどうか調査します。

 この点で、特許情報プラットフォームでは、重要な情報の多くをオンラインで、かつ無料で得ることができます。

自社製品がその特許の権利範囲にあるか調査する

 自社製品が、特許公報の「特許請求の範囲」に記載されている発明の技術的範囲に属するか検討します。もし、「特許請求の範囲」に記されている要素(構成要件)の一つでも違う点があれば、原則として、特許権侵害とはなりません。

 また、特許権者の、出願及び登録までの特許庁における書類(「包袋」と言われます)も調査します。

 【参考ページ】
  ● 特許侵害の考え方  こちらのページをご覧ください

当該特許についての無効理由の調査

 登録された特許であっても、本来は登録拒絶理由(無効理由)が含まれていることが少なくありません。そして、無効理由が含まれる特許権の行使は許されません(特許法104条の3第1項[条文表示])。

 それで、当該特許についての無効理由を調査します。例えば、新規性・進歩性があるかどうかを調べるため、出願前の文献も調査します。

 【参考ページ】
  ● 特許無効化の概要  こちらのページをご覧ください
  ● 特許登録要件~明細書記載要件  こちらのページをご覧ください
  ● 特許の実体要件~新規性  こちらのページをご覧ください
  ● 特許の実体要件~進歩性  こちらのページをご覧ください

他の反論手段の検討

 特許発明との抵触性、特許発明の無効理由の検討のほか、考えられる反論材料を検討します。

実施行為性

 ある行為が、特許侵害となりうる「実施行為」とはいえない場合があります。特にリサイクルや改造などで問題となりうる論点です(詳細はこちら)。

先使用権の主張

 特許出願時点で、すでに特許出願された発明の実施である事業をしている場合(又は事業の準備をしている場合)、事業目的の範囲内において「法定実施権」が認められる場合があります(詳細はこちら)。

「消尽」

 特に真正商品の並行輸入において問題となり、並行輸入者側が主張することができる場合がある反論材料です(詳細はこちら)。

侵害の有無の確認と対応方針

 以上の調査の結果として、侵害の可能性・無効主張の可能性について見通しを立てた上で、主として以下のような要素で対応方針を検討します。

相手方の主張にある程度の理由があると思われる場合

  以上の調査の結果、相手方の主張に理由があり(抵触の可能性が高い)、かつ当該特許が無効とされる理由が高くはないと判断された場合は、速やかな対応が必要です。

 まず、自社商品の設計変更が可能であるかを検討します。この場合、設計変更や仕様変更が比較的低コストで行なえるようなケースでは、抵触の可能性が高いとはいえなくても、設計変更を行うほうが現実的な場合もあるでしょう。

 それが困難であれば、ライセンシング交渉をします。ライセンス契約の条件交渉や契約書の作成に際し、弁護士のアドバイスを受けながら、又は、弁護士を代理人として交渉することが望ましいといえます。

 【参考ページ】
  ● 特許ライセンス契約の留意点  こちらのページをご覧ください

相手方の主張に理由がないと判断する場合

  以上の調査の結果、相手方の主張に理由がないと判断される場合、侵害主張に理由がない旨の回答を、内容証明郵便等により回答します。

 また、当該特許について無効理由がある場合、特許庁に対する無効審判請求を行うことも検討できます。

 さらに、裁判所に対し、差止請求不存在確認訴訟(当該特許に基づき自社製品の製造や販売等を差し止める権利がないことを裁判所に確認してもらう訴訟)を起こす方法も検討できます。しかし、大半の事件は、交渉で妥結することが多いといえます。

 【参考ページ】
  ● 侵害訴訟と仮処分の概要  こちらのページをご覧ください
  ● 特許侵害訴訟の概要・流れ  こちらのページをご覧ください

 

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